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不動産会社の代理交渉で地主への借地権の売却が成立

2022/12/22

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所有している建物が建つ土地が借地である場合、処分に貸主である地主が関与するケースがほとんどです。今回お話を伺った秋元さんには叔母様がおり、叔母様は借地に建つ家に住んでいました。

叔母様が亡くなったことで叔母様の弟である秋元さんのお父様がその家を相続。お父様も自ら使用する予定がないことから、地主への借地権買取り依頼を娘である秋元さんにお願いしたものの、いざ秋元さんが地主に相談すると最初は断られてしまいました。それでも最終的には地主による借地権買取がうまくいった模様。その要因は何だったのか、実際にどのような流れで事が進んだのかを聞きました。

この相続事例の体験者

この相続事例の体験者

秋元 美江さん(仮名)

40歳。東京都内在住。
父親が相続した借地に建つ家を地主による買取りの形で売却できた

父が相続した叔母の家を代行して処分することに

2022年が始まって間もなく、叔母(父の姉)が亡くなりました。その後私は、49日も無事に終わり落ち着いた頃、相続した叔母の家を手放す手続きの代行を父から頼まれたのです。体調を崩しがちな父は、自分で手続きをおこなうのが不安だったのでしょう。また私の職場が不動産関係だったことも理由だったのだと思います。私自身は事務職なので専門知識はありませんが、さっそく詳細の確認から取りかかりました。

判明した「地主の世代交代」

父が子どもの頃に過ごした実家でもある叔母の家は、東京都の下町にある商店街の外れに位置していました。店舗と居住スペースが中庭を挟んで繋がっていて、以前は履物屋さんをしていたのです。しかし店主だった父の兄姉が高齢になり店舗経営が難しくなったことから、ずいぶん前に店舗と中庭を手放したとのこと。私は今回、小学生以来に現地を訪ねたのですが、記憶よりもだいぶ寂しい印象を受けました。お店がなくなり、しかも叔母が亡くなったことが家屋から温かみを消してしまったのかもしれません。

実家が借地に建っていることは父から聞いていました。しかし父は地主がどういう方なのかあまり知らず、わかっていたのはずいぶん前に代替わりしていたことだけ。私は仕事柄、借地の処分には地主との関係性が大きく関与し、またその形は世代交代で崩れがちだと知っていたため、正直、これらの事実に大きな不安を覚えてしまいました。

本人同士の話し合いではらちが開かず、専門家を間に立てることに

兎にも角にもまずは地主と話す必要があると思った私は、電話をかけることにしました。しかし互いに仕事をしているためタイミングが合わず、着信履歴を残すだけの日々が続きました。ようやく話せたところで借地権の買取りを依頼したのですが、「買い取る気はない」と断られてしまい。どうしようかと途方に暮れつつ交渉を重ねたのですが、その後は互いに専門知識がないのもあって埒が開かず、話は遅々として進みませんでした。

あるとき「それなら借地権付きで一般の方に売却して良いですか」と尋ねたら、「売却して良いが、あとは自分が懇意にしている不動産会社に相談してほしい」と言われました。私としても専門知識がない中での話し合いが重荷になっていたので、その後は互いに不動産会社の担当者に間に立ってもらって話し合いを進めることにしたのです。

不動産担当者の説得で状況が一転

私はさっそく勤務先の宅建士に案件として依頼。状況を説明すると「今回のケースでは地主も借地権を買い取った方が得するはずだから、交渉の余地はあると思う。査定書を作成して先方の不動産会社と話してみよう」と言ってくれました。さっそく交渉してくれたところ、なんと地主に買取りを許諾してもらえたのです。驚くと同時に、心底ホッとしましたね。

正直、なぜ最初に「買い取らない」と言っていたのか、なぜこのタイミングで「買い取る」と意見を変えたのか、どちらの理由も私にはよくわかりません。けれど、これで父の意向に添うことができると、ありがたい気持ちでいっぱいでした。

遺産分割協議書はインターネットと人脈を駆使して自分で作成

地主による借地権買取りが決まり、次に取りかかったのが 遺産分割協議書 の作成です。実は父の実家は登記を更新していなくて、所有者は叔母ではなく祖母のままでした。なので遺産分割協議書は、「被相続人:祖母、相続人:父」という内容で作成する必要がありました。

私は費用を抑えるために、インターネットで見つけた無料の書式を使って、自分で遺産分割協議書を作成することに。幸い仕事でお世話になっている司法書士が相談に乗ってくれたので、自分で作成した書類を都度確認してもらいながら進められたので本当に助かりました。もし身近に司法書士がいなかったら、正しく作成できているのかわからないまま進めていたと思うので、もっと大変だったでしょうね。

遺産分割協議書の内容は「実家は借地権ごと父が相続」「借地権は地主が所有」「今後、万が一ほかの相続人が出てきても分配しない」など。最後の一文は、司法書士が「この一文があれば、何があってもお父さんだけで相続できる」と教えてくれたので入れました。

家財整理と家屋の解体を経て、無事に売却完了

地主に借地権を買い取ってもらう条件として、家屋を解体する必要がありました。さらに解体の前には家財をすべて処分しなくてはいけません。しかし家の中はタンスや納戸、押し入れなどに洋服をはじめとする荷物がぎっしり。とても私一人では片付けられなかったので不動産会社の担当者にお願いして、家屋の解体と家財整理をまとめて担ってくれる会社に依頼しました。

その後、家屋の解体に伴う滅失登記も不動産担当者にアドバイスをもらいながら自分で済ませ、今回の実家売却とそれに伴う手続きは全て完了。ひと安心できました。

家族だからこそ、きちんと納得した上で売却を進めていった

今回、父の実家の処分を代行するにあたり、もっとも気をつけたのは父にきちんと納得してもらうことです。もし私が逆の立場だったら、家族とはいえ内容が不明瞭のまま事が進んでいったら嫌だなと思ったので、できるだけオープンに話を進めるよう努めました。しかし父は高齢で、当然ながら専門知識はありませんので、かみ砕いて説明してもなかなか伝わらず苦労することも多々。それでも間違った伝え方をして父がモヤモヤした思いを抱えてしまったり、今後、私と父の関係にわだかまりができてしまったりするのは絶対に避けたかったので、神経をすり減らしながらも一つひとつ話を進めていきました。

最終的に、父が「無事に処分できて本当によかった。ありがとう」と晴れやかな笑顔を向けてくれたので、苦労した甲斐があったと本当に嬉しく思いました。


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